ルアー製作の最終工程ともいえるリップ取り付け作業。
ルアーをアクションさせるという機能を満たすことは当然として、
同ロットで製作するルアーに個体性能差を出さないこと、
いわゆる「バラツキ」を出さないためには、
リップの取り付け精度が非常に重要になるのだ。
これは現在製作中の飛礫(つぶて)と言うモデル、数年前の製作ロット。
試行錯誤していた頃にリップを色々と試し、
リップ状態に対してアクションがロバストなことが分かっている。
ハンドクラフテッドミノーはバラツキがあるから面白い、
という意見もあるかもしれない。
しかし、それを言うのが許されるのはユーザー側だろうと思う。
同じ名称をつけて同じ価格で販売するのであれば、
個体差を抑える努力はするべき、というのが私の考え。
さて、アクションの「バラツキ」を抑えるために、
リップの取り付け精度を上げることが必要なわけだが、
これを要素に分解してみると、
「位置」と「角度」と「深さ」に大別できると思う。
またこれら要素の測定基準について、
つまり何に対しての位置や角度なのか、
ということも明確にしておく必要がある。
今回は、リップ取り付け位置について、
私がしている工夫の話。
リップ取り付けの溝を切る前には、いつもこんな治具を用意する。
適当な木片2つとスケールを、瞬接か両面テープかで軽く固定しただけ。
これをどう使うかと言うと…
ミノーを左側にあてつけ、溝を切る位置をマーキング。
つまり私がリップ位置寸法の基準にしているのはラインアイ先端。
これでリップ取り付け位置の精度が上がる。
いや、位置精度を出すには、スケールやノギスで確認しながら、
とにかく「丁寧に作業する」ことが最も重要なわけで、
「精度を上げるための作業性を上げる」治具と言うのが正しいな。
角度と深さについても工夫していることがあるので、
また機会があれば書いてみたいと思う。
そして接着完了。
あとはフックをつけてスイムテストして完成。
ついでにムナジロカワガラスちゃんのちょっとした改良も実施。